21世紀科学教育の創造

 

講演1講演2分科会1分科会2分科会3分科会4
*講演1:学校と博物館・科学館の連携による科学教育の創造
*講演2:科学コミュニケーション活性化方策において科学系博物館が果たすべき役割

*分科会1:ミュージアム・マネージメント
*分科会2:学校・地域連携
*分科会3:展示・教育法 (科学館における調査研究) (ミュージアム・コミュニケーション)
*分科会4:異分野連携


■講演1 学校と博物館・科学館の連携による科学教育の創造

講師 五島政一

 私は中学校の教師時代「子どもが生き生きと理科を学習し、理科を好きになる教育」をめざして実践活動を行ってきました。この過程で、子供達が本当に生き生きとした学習を展開すると、理科という教科の枠組みを超えて総合的な学習、探究的な学習に発展することが分かりました。また、ほとんどの子供は自然が好きで、野外学習の間にもいろいろなことを発見していることも分かりました。その発見の多くは専門家も知らないことが多く、探究的な学習に適したものです。子供達は、その発見の合理的な解釈を求めます。そのため、必然的に専門家の助言や指導が必要となり、学習の場も学校外の施設(博物館など)を積極的に利用するようになります。このとき、有効な情報を与えることが出来れば、彼らは探求的な学習を展開し、ますます自然への興味関心を深め、主体的に学習する方法を身につけていきます。
 教師は、子どもが生き生きと主体的に学習を指導するために、他教科の教師と協働してクロスカリキュラムや総合的な学習を組織したり、博物館などの専門家と協力して指導する必要にせまられます。つまり教科間のネットワークや学校と社会施設とのネットワークが模索されはじめるのです。そのネットワークがうまく機能するためには、教師は他教科の教師や博物館の専門家から援助や指導を受けるだけでなく、自らがボランティアとして貢献すること、つまり健全なGive and Takeの関係が必要になります。教師は、教科を指導するteacherとしの役割だけでなく、探究的な学習を支援するFacilitatorの役割、他教科や他機関と連携・調整するCoordinatorの役割、ボランティア的なアマチュアspecialistの役割などが求められることになります。それらの過程で、教師自身が自ら学ぶ姿勢を子どもに示すことができ、受験のための勉強でなく、学ぶ楽しさを後ろ姿で示すことになります。
 地域の身近な自然を利用した探究的な学習(フィールドワーク)を長い間展開することで、いろいろな標本や地域の自然についての研究成果が蓄積され、それらを理科室に展示することで理科室を地域のミニ博物館にすることができます。そこでは教師はミニ学芸員であり、子どもは地域の自然史や社会・文化を研究する事を通じて、地域の文化創造に貢献することになります。学校が受験教育だけの場でなく、子供達の主体的な学習の場となり、地域の文化作りや文化発信の場となります。21世紀の科学教育では、地域から知識や文化など生みだし、それらの発信や交流を通じて学ぶ楽しさを体験できるような教育システムが求められると思います。私の話の内容は以下の骨子で構成されます。

話題提供の骨子
(1) 私の生い立ち:自然体験は好きだが、勉強はつまらないもの
(2) よくわかる、できるようになる理科教育の追求と限界
(3) 学問・学ぶことは、本来楽しいもの(知的好奇心、学ぶ楽しさ)
(4) 子どもが生き生きと意欲的に主体的に学習する理科教育の構築
(5) 一人の教師の限界とチームワーク(他者の協力)(学校外の施設の利用)
(6) 教師自らが学ぶ楽しさを後ろ姿で見せる(人生は楽しいもの、一生学び成長する(生涯教育:人生一書生))(初任時の教師と定年時の教師の力量)
(7) 学びのネットワークの構築(Takeからgiveへ)
(8) 受験教育ではなく文化作りの教育(受け身の教育から創造の教育へ)
(9) フィールドワークを体系化できる理科教育理論(クロスカリキュラム・総合的な学習を体系化でき
る理科教育社会施設を利用した教育を奨励した理科教育理論)の模索
(10) 子どもが生き生きと学習するシステムの開発(カリキュラム・指導法・教材教具・評価方法の開
発など)と教師教育:拡張的・有機的な学習とそれを行える教師教育
(11) 21世紀の科学教育で望まれること(私案):KeyWord: Partnership(collaboration), Network,
Creativity & Originality(Transmission of local original culture), enjoyment of life(Value of life)

略歴:
私立横浜高等学校非常勤講師、神奈川県公立中学校教諭を経て、平成10年に国立教育研究所科学教育研究センター主任研究官に着任。平成12年に科学教育研究センター地学教育研究室長、平成13年1月から現職。

著書:
「NHK自然観察入門」(日本放送出版協会:共著)のほか、「地域(三浦半島)の自然(岩石・地層)の教材化」(平成4年度東レ理科教育賞受賞作品集)財団法人東レ科学振興会 平成5年7月、「中学校における自然環境理解を高める理科カリキュラムの開発に関する研究」(平成6年度笹川科学研究助成研究成果報告書)財団法人日本科学協会 平成7年3月、「アースシステム教育と野外学習」(共著)(日本科学教育学会20周年記念論文集)平成8年7月、「地域の自然(植物・動物)を使った野外学習を中心とした学習指導方法の開発」(平成8年度東レ理科教育賞受賞作品集)財団法人東レ科学振興会 平成9年6月、「総合的な学習における評価」(中学校における総合的な学習の時間のカリキュラムに関する研究)国立教育研究所 平成11年9月、「理科を中心とした総合的な学習の展開」(理科の教育4)通巻573号Vol49 日本理科教育学会 平成12年4月、正しい科学概念(自然観)を身に付ける方法(理科教育)(その1)―システム科学的な理科教育「アースシステム教育」−「楽しい理科授業12月号」明治図書 平成13年12月、など。

 


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