第6回勉強会 日時:8月7日(日) 14:00〜
場所:国立科学博物館大会議室(本館3階)
講師:NHK 番組制作局 科学・環境番組 
   ディレクター    高山 英男

    *こどもゆめ基金(独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター)助成活動


基調講演話題提供1話題提供2講演
*基調講演 :理工系人材開発の包括システムとしての科学教育体系化 科学コミュニケータはどこに位置づくのか(小川正賢)
*話題提供1:科学コミュニケーションにおける博物館の役割(小川義和)
*話題提供2:ジャーナリストの役割(小泉成史)
*講演:科学を伝える 研究者として、作家として(瀬名秀明)

基調講演「理工系人材開発の包括システムとしての科学教育体系化〜科学コミュニケータはどこに位置づくのか〜

講師:小川正賢(神戸大学発達科学部)

 現代社会とそこに生きる私たちの日常生活が,広い意味での高度科学技術の成果によって成り立っているということは疑う余地はないが,それらはなかなか表からは見えない.携帯電話やインターネット,ATMなどが便利に利用できる背後に,どのような高度科学技術に支えられたインフラが日本中,いや世界中を張り巡らされていて,常時,監視され,メンテナンスをされているかなどということは,一般の人々には見えにくいのだ.そのような高度科学技術に裏打ちされた「ここちよく生きられる社会」を維持し発展させていくには,それ相応の能力を持った人々(理工系人材)が社会に必要な数だけ,常時存在しなくてはならない.そのような「社会に必要となる理工系人材」を開発・供給し続けることができるかどうかが社会の存続と進歩にとって決定的に重要となる.

ところが,5年後,10年後の私たちの社会に,どのような理工系人材がどれくらい必要になるかという予測はむずかしい.ましてや,そのような人材をどのように開発・育成するのかということを考えるのはもっとむずかしい.だからどうなるかというと,目の前にあらわれてくる課題ごとに対応を考えることになってしまう.技術経営(MOT)の専門家だとか,あるいは,科学コミュニケータだとか.残念ながら,体系的な理工系人材開発の視点は存在しなかった.

今年の科学技術白書では,ようやく,社会に必要となる理工系人材の全体的なビジョンとそれらの人材をどう開発・育成するべきかに関する検討の必要性が示された.本発表では,このような社会に必要となる理工系人材とその包括的な教育システムについて考察してみたいと思う.その全体像の中に,科学コミュニケータはどのように位置づくのかという話になる.そして,この試みをするということが,じつは,5年後,10年後の私たちの社会のあるべき姿とそこに生きる一般市民のあるべき姿を議論していることになることに気付いていきたいと思う.

初等・中等理科教育,教員養成から出発して,生涯教育の中での科学教育,高等教育での理工系カリキュラム開発,人材育成問題などの研究を通して,科学教育のグランドデザインについて考えている.また,科学教育文化論(Culture Studies in Science Education)という新しい科学教育研究グループの国際的な組織化と研究活動の推進を行っている.

略歴:
1952年生.京都大学農学部卒.同大学院博士課程中退.京大農博.茨城大学教育学部助教授.広島大学高等教育研究開発センター教授,2002年から神戸大学発達科学部教授.2003年日本科学教育学会学術賞受賞.2004年より日本科学教育学会会長.

著書:
「理科」の再発見(農文協,人間選書,1998)、惑いのテクノロジー(東洋館出版社,1998)、序説STS教育(東洋館出版社,1993)、理工系学生のためのキャリアガイド(化学同人,2002:翻訳)、新しい理科教授学習論(東洋館出版社,2000:翻訳)




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