第6回勉強会 日時:8月7日(日) 14:00〜
場所:国立科学博物館大会議室(本館3階)
講師:NHK 番組制作局 科学・環境番組 
   ディレクター    高山 英男

    *こどもゆめ基金(独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター)助成活動


基調講演話題提供1話題提供2講演
*基調講演 :理工系人材開発の包括システムとしての科学教育体系化 科学コミュニケータはどこに位置づくのか(小川正賢)
*話題提供1:科学コミュニケーションにおける博物館の役割(小川義和)
*話題提供2:ジャーナリストの役割(小泉成史)
*講演:科学を伝える 研究者として、作家として(瀬名秀明)

講演「科学を伝える 研究者として、作家として」

講師:瀬名秀明(作家)

 私は子供の頃、マンガ家・藤子不二雄のアシスタントになりたかった。『ドラえもん』の作者である藤子・F・不二雄はマンガの書き方について述べた著書の中で『のび太の恐竜』という作品を掲げ、「恐竜の話を書くなら恐竜博士になりなさい(そうすれば自然と面白い話が書けるようになりますよ)」と説いている。小学生の頃に私はこの文章を読み感激したことを憶えている。その後私は薬学を専攻し細胞生物学を学び、その途中で小説家になったが、いまでもこの藤子・F・不二雄の教えを守って作品を書いている。

 この講演では、『パラサイト・イヴ』で大学薬学部を舞台にした経緯や作品への反響、それによって次の作品に活かしたことなどを順次述べながら、作家である私が「科学を伝える」ということについて普段何を思っているのか雑駁に話してみたい。近年、理科教育においてインタープリターの重要性がクローズアップされているが、作家だから、あるいはジャーナリストだから科学を面白くわかりやすく伝えられるというものでもない。多くの人が指摘するように、伝えることと学ぶことは非常に近い関係にある。私たちが学ぶときはおおよそ二種類の場合に分けられる。面白いと感じているときと、畏れを抱いているときである。心から面白いと感じ続ける者、そして同時に畏れと驚きを持ち続ける者がおそらくはインタープリターにもなり得るのだろうと思っている。

 文系・理系の壁ということもよく話題になるが、両者の文化の違いを認めた上で、研究者や作家は何ができるのか。講演の後半ではデカルトの科学論に立ち戻ってみたい。分析と総合、心身二元論と心身統合、道徳論、デカルトが遺した問題点の中に、21世紀の科学を考えるヒントは多分に含まれているように思えるからである。

略歴:
1968年生まれ、静岡県出身。96年東北大学大学院薬学研究科修了、薬学博士。在学中に『パラサイト・イヴ』で第2回日本ホラー小説大賞を受賞し作家デビュー。その後、脳科学やロボット工学、認知科学などにも興味を広げ、様々なジャンルを執筆中。

著書:
「ロボット・オペラ」(光文社)、「科学の最前線で研究者は何を見ているのか」(日本経済新聞社)、「岩波講座ロボット学1 ロボット学創成」(岩波書店、共著)など。近刊に「知能の謎 認知発達ロボティクスの挑戦」(講談社ブルーバックス、共著)。




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