「21世紀型科学教育の創造VII」趣旨
私たちは,2003年にワークショップ「21世紀科学教育の創造」を立ち上げ,今後の科学教育のあり方について議論を重ねてきました。2003年はテーマを「交流(Communication)」として,生涯学習施設,行政,企業などの様々な立場の人々と意見交換を行い,課題を抽出しました。2004年は「科学コミュニケーション」のテーマのもとに科学を文化として捉えるための方策について考えました。2005年は「人々と科学のかかわり(Public Engagement)」として,科学コミュニケーションにおける人々の関わりを中心に21世紀の科学教育のあり方を議論しました。また,2006年「21世紀におけるサイエンスリテラシー(Science Literacy)」:様々な分野の実情・取り組みをもとに,人々が持つことが望ましいサイエンスリテラシーについて今後の長期的方向性を議論し,子どもから大人までの科学・技術に関するリテラシー醸成に果たすシステム構築に向けた成果を得ることができました。2007年「キャリアを拓く科学教育」:職業教育ではない,ライフコースデザインという新しい概念をキーワードに,よりよい人生を自ら切り拓くための科学リテラシーのあり方を論じました。2008年はさらなる飛躍を目指し,「科学教育を通じた地域連携」をテーマにして,科学を気軽に楽しむという感覚から地域の絆を深めることで,科学技術に対する意識の醸成など,科学を文化として社会に根付かせるための方策を論議しました。
本ワークショップの開催とこれまでの議論を通し,私たちは科学コミュニケーションという昨今の科学と社会の関わりの流れに一定の役割を担ってきました。サイエンスカフェなど実践的な取り組みが各地域で数多く開催されるようになってきたことについても,ある程度の貢献をしてきました。
これまで私たちが一貫して試みてきたことは,「科学技術者養成のための科学教育」から「科学リテラシー醸成のための科学教育(対話型科学教育=21世紀の科学教育)」への転換であり,地域の絆を深めるための1つの方途としての科学教育への展開です。すなわち,学校,科学系生涯学習施設,大学,研究機関,メディア,行政,企業,ボランティア活動等において科学教育に関わる方々及び関心のある方々と,さまざまなテーマや観点から意見交換をしてきました。
2009年は,「世界科学者会議」(1999年,ブダペスト)で採択された「社会のための科学,社会の中の科学」に対応する科学教育を考えるため,全体テーマを「社会につながる科学教育」としました。さらに,学校や生涯学習機関におけるその在り方を詳細に検討するため,グループ討論のテーマを
@社会の中で感性を磨く理科教育 −感性にうったえる理科教育−
A社会につながるキャリア教育 ―今,学校で行われているキャリア教育―
Bいま求められる大人の学び −大人の社会貢献−
として,ワークショップという機能を大いに活用し,共通したテーマを軸にした議論を通じ,さまざまな立場の人が自らの使命や機能を自覚するとともに,参加者すべてが成長する場となるよう計画しました。
なお、本ワークショップは子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)の助成金の交付を受けて開催する事業です。