第2回日本科学普及リーダー養成研修会報告
2011年7月9日、国立天文台にて第2回日本科学普及リーダー養成研修会が開催されました。
(次回は9月10日(土)パナソニックセンターにて開催の予定です)
第1回日本科学普及リーダー養成研修会報告はこちらからご覧ください。
講演:日本サイエンスコミュニケーション協会(仮称)の設立について(組織)
高安礼士 (全国科学博物館振興財団)
講演(32:57)
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Grope A:サイエンスコミュニケーションに関する学術研究(小川義和)
記録:小川義和・蓑田裕美
まとめ
- ― 日本科学コミュニケーション協会設立にあたって
「学術的活動」できるかどうかは非常に重要である。既存の「学会」活動に留まっていてはいけないだろう。サイエンスコミュニケーションの理論化、スキルや事例の集約。学術研究や実践の成果を、雑誌・研究集会などのあらゆる手段でアウトプットし、社会と共有しなければならない。 - ― 「サイエンスコミュニケーション学」は成り立つのか?
理論はもちろんあるが、臨床的・実践的なスキルもサイエンスコミュニケーション学の範疇に入るだろう。 - ― サイエンスコミュニケーションにおける学術的検討の余地はあるのか?
サイエンスコミュニケーション“オリジナル”のテーマはあるのか? 他の「学問領域」との関わり、サイエンスコミュニケーション活動として他の「活動」との関わりを考えるためにも、これまでのサイエンスコミュニケーション実践例の整理と俯瞰が必要であろう。サイエンスコミュニケーション学の範囲と人材養成について整理することはもちろん、社会におけるサイエンスコミュニケーションの実践例を事例として集めておく必要がある。どんな実践があるかを収集し、その多様性を俯瞰して整理する必要がある。 - ― サイエンスコミュニケーションのアウトプットにはどのような方法が適切か?
雑誌・・・情報交換の場?査読の必要性?科学に関連する政策提言も?研究・実践支援?キャリア形成?顕彰? (例)北海道大学CoSTEPが発行する学術雑誌『科学技術コミュニケーション』(Japanese Journal of Science Communication)は研究者向け。
研究集会・・・サイエンスコミュニケーション研究者だけではなく、一般の方が参加しやすい工夫が求められる。
研究・実践成果の社会との共有方法は最も注力すべきところ。欧州でのサイエンスエクスプレスの事例のように、学術研究のアウトプットは色々な具現化方法が考えられる。 - ― 本協会の活動範囲とは?
子供たちへの教育も切り離せない問題。今の科学教育がどうなっているかは常に把握するべきだ。本協会は、今春の原発事故のような、科学的有事ともいえる状況での対応も担うのか? 地域における科学事象の合意形成まで、協会の活動範疇に入れるかどうか。
→ 地域におけるサイエンスコミュニケーションでは、先行事例を提供することは可能であるし、合意形成までも責任もってやるべきだろう。非常時と平時のサイエンスコミュニケーションのあり方を考えておく必要がある。 - ― 研究者もアウトリーチ等でサイエンスコミュニケーションを求められている
専門家ではないけれど…。科学教育学会での活動。
楽天市場のように、「WEBコンテンツ屋さんが自分の作品(商品)を発表できる場」として本協会を活用できないか?WEBコンテンツ屋から見ると、「アップルストア公認アプリ」のように、本協会がコンテンツを査読(確認)することで一定以上のクオリティを担保する仕組みがあればと思う。うまくいけば、それでサイエンスコミュニケーションで商売をしていくこともできるだろう。ひいては工作キットや電子書籍の販売へと発展していくことを期待している。 - ― 「学術論文では救えない部分」を本協会が救うべきでは?アウトプットの形は?
こういう道具を使ってサイエンスコミュニケーションの学術活動を行っている、という体系的理論化のひとつ。議論のプロセスを見せ、数値が入っているものを追っていくべきだろう。
アウトプット方法については、ただクロスメディアすれば良いわけではなく、インターネットと雑誌など、媒体ごとで分け、サイエンスコミュニケータのお悩みQ&A掲示版を設置したり、サイエンスコミュニケーションのエッセンスを市民が無料で閲覧できるような仕組みを作ったり…。様々な工夫が必要。WEB形態でのアウトプットの場合、今後は有料・無料といった2段階の仕組みも必要かもしれない。「『科学技術リテラシー』をかみ砕く」意識で。 - − 協会誌のあり方について、対象と戦略
アウトプットの形としては、「雑誌(冊子)」は<研究論文掲載型>、「インターネットのウェブサイト、掲示板」は<問題解決型>という特徴がある。本協会の活動アウトプット先として、誰を対象にするのか、優先順位をつけるのか、コンテンツを分けるのか…といった課題にぶつかる。実際には、今後の日本の科学コミュニケーション発展のためにも、論文掲載の冊子と問題解決型のウェブサイトの両方の良さを活かしていく必要がある。論文掲載といっても、必ずしも紙媒体の冊子にする必要はなく、全てをWEB論文にしても良いかもしれない。いずれにしても、本協会を設立するからには、他の団体・機関で補いきれない部分や、本協会があるからこそできることを追究するべき。具体的なコンテンツを使った「実践研究」が本協会の主目的ではないだろうか?(皆で定義や趣旨を検討するのではなく、最初にサイエンスコミュニケーション協会の理念だけは提示したうえで、細かくは同意へこぎつけずに皆でワイワイと話し合いながら進めるのもありだろう。) - − サイエンスコミュニケーションベーシックスの策定と関連する活動領域の俯瞰図の作成
サイエンスコミュニケーションについては実に様々な考え方がある。そのため、本協会では各地域・活動主体が行っている活動や個人のサイエンスコミュニケーションに対する考え方の多様性を保証しつつ、「サイエンスコミュニケーションとはこういったものです」という共通理解できるガイドライン(本協会の共通となる土台:サイエンスコミュニケーションベーシックス)を示し、サイエンスコミュニケーション俯瞰図を作る必要がある。俯瞰図を作るのは大変だが、そうしたガイドライン作成こそが、本協会にとってできることではないだろうか?
Grope B:サイエンスコミュニケーションに関する人材養成(渡辺政隆)
記録:渡辺政隆
討論のテーマ
協会が担いうる機能
■既存のSC養成講座の認証
■実績のある個人の資格認定
■協会独自のSC養成活動
前提となる条件
- サイエンスコミュニケーター(SC)として必要な条件は何か?
- サイエンスコミュニケーションとは何かを、まず協会として示す必要がある
- その上で、SCに必要なスキル、担うべき機能などを明確にする
- サイエンスコミュニケーションという言葉が広まるにつれ、人々の認識にずれが生じつつある
- 現状として多様なサイエンスコミュニケーション像、SCのイメージを整理して、協会のガイドラインを明確に打ち出す必要がある
- ガイドラインのたたき台を準備する
準備のための議論
- 「科学を学んで何の役に立つの?」という素朴な設問に答えられることが必要条件である
- なぜ科学が必要なのか、なぜ科学が大切なのか、そうした問いにたいする統一見解と共有が必要
- 科学でわかっていること,わからないことを伝えるのもSCの役割
- SCには、本にないことも伝えられるスキルがほしい
- トップダウンが必ずしも悪いわけではないはず。リスク管理など、ある程度の「教えてあげる」的なサイエンスコミュニケーションもあるべきだ。それは科学啓蒙主義でない
- 「サイエンスコミュニケーション=わかりやすく説明する」という短絡的な認識はこまる
- 知識を社会に実装したり、異なるコミュティを結びつけるハブになる役割もSCが果たすべき機能の1つ
- サイエンスコミュニケーションの講義がある大学は、北大、東大、筑波大、阪大など、大きな大学だけであり、富山大など一部を除くと地方大学にはない。学問領域として確立できていないから、なかなか地方にも広がりにくい。そのせいで、活躍の場も創出できないのではないか。学問領域として確立されれば、地方大学でも講義ができ、大学の教員という活躍の場も創出できるだろう
具体的な議論
- プロのSCとは何か? 誰が思い浮かぶか?
- SCのスキル、素養とは何か?
- たとえば、でんじろうさんを考えてみよう。学校の科学の教員だったのだから、科学の素養はある。プレゼンのスキルもある。プロのSCと言えるが、SCとはでんじろうさんみたいな人だというと狭い定義になってしまう
- 科学の素養があること、プレゼンがうまいことを条件にするならば、理科教員は皆SCだろう
- 別の言葉で言い換えてみよう。パフォーマー、インタープリター、コーディネーター、ファシリテーター、モデレーター、プロデューサー・・・
- 博物館に寄せられる問い合わせで、昆虫などの種類を調べたいが,誰に聞けばよいかという質問が多い。衛生害虫なら保健所なのか、学校の先生で詳しい人を教えてくれとか、社会にはそういうニーズもある。生き物に限らず、科学的情報の窓口機能を担うのも、「町のSC」なのかもしれない
- 地元の博物館と人々をつなげるようなハブ的役割を担うのもSCの重要な機能ではないか
- すでにそういう活動をしている人もいる。そういう人たちを後付で認定するにしても、協会の認定をもらうメリット、協会に加盟するメリットがないと意味がない
- 社会全体だけではなく、コミュニティレベルでもいろいろな活躍の場が考えられる。現状として複数の機関の講座で養成されたSCがいるのだから、理念・スキル・知識等について、協会をしてのガイドラインの策定が先決問題だろう
Grope C:サイエンスコミュニケーションにおける地域ネットワーク(縣秀彦)
記録:縣秀彦・高尾戸美
参加者の地域活動について
- 福岡の箱崎で公民館を舞台に地域の人々向けに活動を行っている。区の助成活動として公民館主事、地域のオヤジの会と連携して実施。このほか、自然体験活動やおしゃべりサイエンス教室(科学工作教室)を行っている。
- 国立市ではNPO団体が商店街で活動をしている。
- TX沿線の新興住宅にて、不動産会社の依頼でサイエンスカフェを実施。科学を用いてつくばを知的な街にしようというねらいのようだ。
- つくば市の各研究機関では、アウトリーチ、広報活動を業務の一環で展開。
- 社会教育、学校もそれぞれの機能を果たせていない。図書館、博物館、公民館等これらをまとめるエージェントが必要である。
- はこだて国際科学際では、ゼロから関係をつくるのではなく、既存の組織同士をつなげて実施。目的は異なっても仲間が集うことに意義を持てる人同士をつなぐのがポイント。大学や研究者の視点で地域資源を活用しつつ、新しいものを入れて活性化していくことが大切。あわせて、科学と関係のない人たち(図書館やコミュニティセンター)も巻き込んでいくために、みんなが参加しやすいテーマ(環境・食・健康)を実行委員会で設定している。
- 科学の祭典は、全国大会であっても自主的に実施しているため基本は個別の活動体である。
SC協会の考え方
- 地域のプログラムは良質なものが多いが、それらの活動をつなぐことができていない。その役目を果たすのがSC協会である。
- 地域で活動する人々にとって、サイエンスコミュニケーションに関する人材や場等の情報窓口となり、それらをコーディネートする組織。
- 各地域にメリットが得られることで、多くの参加を集めることができる。
- 地域の活動者向けのガイドラインが必要。
- 地域ネットワークをうまくつくれるかどうかがSC協会の最大のポイント。
- たとえばSC協会で、全国規模のイベントを年1度運営。会場は地方を巡回し、各地域の行政に協力を仰ぐことで、地域資源の再発見とともに、全国の人々と交流を図る契機をつくる。都会は、資源はあるものの埋もれてしまう。一方、地方ではお金はないがみんなで協力して成し遂げる知恵と力を持っている。彼らに新しい方法論に触れることで、自分たちでできることをみつけるきっかけをつくる。このような機会をつくっていくことが必要である。
協会への参加を促す方法
- 自分以外の人のためになり、魅力のあるテーマ(夢がある、楽しい、共通の不安を解決するようなこと、科学哲学的なことなど…)を取り上げる。
- 地域や参加者にメリットを生みだすような活動を行う。
- サイエンスコミュニケーション活動の場を提供。
- たとえば、アゴラのように、新しい人々、技術等に出会える場を提供。
- 科学の著名人に会員になってもらう。日本を代表する科学者は200〜300名。これにテレビの科学番組に出ているタレント等にも協力してもらうなど。
- 科学コミュニティの外の人が係わりやすいように敷居を下げる。大人向けの有料ジャズイベントや、サイエンスを用いた一村一品運動、省電力特区…など。
会費の考え方
- 組織体制としては各支部を作成、そこで会費を徴収、それを本部で回収するなど。
- 2重構造。サポーター、正会員、一般…などを想定か。
- 一般会員は1,000円?
- 何年でも先払いできる、永久会員なども考えられる。